Myth of WAX
ワックスを塗っては剥がす、塗っては剥がす。僕はワックスの削りカスの中に埋もれていた。
どうせ粉まみれになるのならばパウダースノーの中に埋もれていたい。
この作業をいつもしていて思うのだが、溶かしたワックスの99%は剥がされてゴミ箱送りになっているのじゃないか?99%はソールに染み込む事が出来ないのではないか?まるで卵子と結合できない精子のように。ワックス剥がす為にシコシコしてるくらいだったらセッ◯スしてたい。などと不毛なことを考えている。
この記事で言いたいことの99%は言い切ったのだが、それでは捨てられる99%のカスと同じく不毛な記事となってしまうのでここからリカバリーするが、ワックスを何度も入れて剥がしてという作業を繰り返すと確かにソールが出来上がりピカピカに仕上がる。それは芸術的な輝きだ。(実際はしっかり剥がしてブラシとクロスで磨いてあげれば見た目的には1回のワックス作業でピカピカになる)
ワックスの原理は検索すれば山ほど出てくるので割愛するが、何回もワクシングをするという作業の本質はソール材の隙間の奥の奥まで、すべての隙間にワックスを染み込ませることにある。僕は目で見たことは無いのでワックスの専門家の説明をそのまますると、ソール材は熱を加えると繊維の間の隙間が開きその隙間にワックスが染み込んでいくということらしい。
ではワックスに熱を加えた後に毎回剥がすという作業は何のためにあるのだろう?この作業には意味はない。あるとすればこんなに親指が痛くなるほどスクレーピングを繰り返しているのだから滑ってくれるに違いないというプラセボ効果である。
それではどうすれば良いのか?
ワクシングペーパーを使ってソールを焦がさないように満遍なくワックスを塗る。ワックスを剥がさずに少し放置。そして再び加熱してワクシング。この時前回使ったワクシングペーパーを使えば、新たなワックスは必要ない。またソールを冷やしすぎてしまうと折角開いた隙間が閉じてしまうのである程度冷えたところでワクシングしてあげるのが一番効率的であろう。
この作業を何度も何度も何度も繰り返す。理論的にはワックスは奥の奥、隅々まで染み込んでいくはずである。気が済んだところでスクレーピングして剥がしてやればいい。何度も剥がさなくてもいいので経済的にも体力的にも時間的にも効果的である。硬さの違うワックスを入れたければその上から入れてやればいいが、経験的には硬めのワックスをしっかり入れてやれば1種類で十分である。
以上でベースを作る作業は終了。あとは雪質にあったワックスを入れてあげよう。ホットワックスじゃなくて簡易ワックスでも良い。
こんだけ手間をかけて作業してもワックスはあっという間に抜けてしまうので抜け切る前に再度ワクシングをする必要がある。ワクシングとはなんとも不毛な作業である。
ちなみに俺は高専スキー部時代から数え切れない回数ホットワックスをしてきたが、たどり着いた結論は「簡易ワックス最高!」である。