EVERSUMMER3が出来るまで その1

2010年5月24日 at 9:17 PM

さてこれから何回になるかわかりませんがエバーサマー3が出来るまでを書いていこうと思います。

まず最初に全てのライダー、カメラマン、サポートしてくれた方々、そして9年も待ってくれた方々に感謝します。ほんと言葉だけじゃ言い尽くせないのですがまずは言葉で。その後何らかの形でお返ししたいと思っています。

最初はあれですかね「なぜこんなに時間がかかったか」ですね。
「イノウエさんの堕落」
これが9割ですね。申し訳ない。いわゆる請負仕事と違い自分をコントロールしないとなかなか進まないですね。こういうスポーツ物の映像はアートの領域に近いのでテンション次第ではかどり具合が全く変わります。ヨッチのパートは2時間で出来ました。でもあるパートは1週間たっても数カットも進まないとかいうこともざらです。なんか「しっくり来ない」。でも原因がわからない、ということがあるとだんだんテンションが下がり停滞します。それを繰り返すうちに4回ほど作りなおしました。まるでマトリックスのザイオンですね。「このまま出すか」「全部を壊して作りなおすか」という選択に迫られるわけです。途中まで作って壊すを繰り返してました。途中からはあまりにも進まないのでライフワークとか言い訳してました。

残りの1割は、ライディングと機材の進化です。
毎年良いシーンがどんどん撮れ、素材の量が膨大になっていきます。今回はカット数で10000弱、ファイル容量で1TB近い素材がたまりました。エバーサマー1で17GB、エバーサマー2で50GBだったのと比較すると素材の量が想像しやすいかもしれません。編集ソフトを立ち上げるだけで30分とか掛かりPCのスペックが追いつかなくなってしまいました。追い打ちを掛けるようにここ3年くらいはHD(ハイビジョン)で撮影するようになり編集が効率良く進まなくなってしまいました。ファイル数が多いため良いカットを探すのに時間がかかる。ここらへんが解決されたのが昨年の夏PCを64bitにして使えるメモリーが格段に上がってからでした。こうなるとテンションも上がってきます。手始めにトレイラーを作りどんどん作品が形になりはじめました。2月には8割方完成し、そこから足りない素材の撮影、良いカットと差し替えとなり4月末にほぼ完成。GW明けにプレスに出して先日発売にこぎつけました。うーん長かった。1年分の素材で作らないと自分の首を絞めるということを経験しました。まぁ大赤字でもライフワークという楽しみで作れたのでいっかと思ってます。ほとんど妥協なく作れたので(もちろん妥協もあるよ。妥協しないと完成しないしね)作り手としては満足しております。あとは皆さんにどう受け入れられるかと言うところですね。

ということでエバーサマー3が出来るまで第1回は「イノウエ堕落の9年間」をお送りしました。次回からは内容に迫っていきたいと思います。

EVERSUMMER3初期ジャケット
EVERSUMMER3の初期ジャケット(2006年)このころはSNOWSCOOT MOVIEになっている。
この段階で映像のほうも4割ほど出来ていたが一旦リセットする。

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